2014/08/18

【研究紹介15】偽りの笑顔は嘘つきの検出を阻害する(Journal of Nonverbal Behavior, 2012)

Abstract(ざっくり和訳)
先行研究において、人間はネガティブな表情表出に基づいて協力者と嘘つきを区別できることが報告されている。しかしながら、このような嘘つきの検出能力は、実際の社会生活において完璧なものではない。そのため、嘘つきは非協力的な態度を示すネガティブな感情表出を隠蔽するための能力を持っている可能性がある。この可能性を検証するために、経済ゲームの結果によって定義された嘘つきと協力者の顔写真に対して感情強度と信頼性を評価させた。顔写真は笑顔か怒り顔の静止画像であった。協力者と比較して、嘘つきの怒り顔は感情強度が高く、信頼性が低く評価されていた。その一方で、協力者と比較して嘘つきの笑顔は感情強度が高く評価されていたが、信頼性には差が見られなかった。これらの結果から、協力者よりも感情強度を高く認知される嘘の笑顔によって、ネガティブな感情表出の処理に基づく嘘つきの検出能力は阻害されていることが示唆された。

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●文献情報
Okubo, M., Kobayashi, A., & Ishikawa, K. (2012). A fake smile thwarts cheater detection. Journal of Nonverbal Behavior, 36, pp.217-225.