2014/08/07

【研究紹介7】疲れ果てると本当のことなんて言っていられない(Journal of Experimental Social Psychology, 2009)

Abstract(ざっくり和訳)
嘘をついて利益を得る機会は、自己利益を得るために嘘をつく誘惑と社会的に適切な方法で行動する望ましさの間で葛藤を生じさせることになる。正直に振る舞うかは自己統制能力に依存している。自己統制能力とは、反社会的で利己的な行動ではなく、社会的に望ましい行動を選択するために必要な能力である。本研究では、自己統制資源を使用する課題を行うことで資源が枯渇した場合に、人は嘘をつくようになるといった仮説を検証するため2つの実験を行った。実験1の結果では、自己統制資源が枯渇していない人よりも、枯渇した人は自身の成績を偽り、金銭的報酬を得ていた。また、厄介な結果が実験2で得られた。自己統制資源が枯渇した人は、自己統制資源が枯渇した状況を想像してもらい、嘘をつくかどうかを尋ねると嘘をつかないと回答していたが、実際の状況では嘘をついていた。以上の結果から、自己統制資源が枯渇したときに人は嘘をつくようになり、そのような状況を事前に想定できていないため、嘘をつくことに対して脆弱性を抱えていることが示された。

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●文献情報
Mead, N. L., Baumeister, R. F., Gino, F., Schweitzer, M. E. & Ariely, D. (2009). Too Tired to Tell the Truth: Self-Control Resource Depletion and Dishonesty. Journal of Experimental Social Psychology, 45(3), pp.594-597.