2014/08/18

【研究紹介16】左側の顔は信頼できない:信頼性と感情表出における半顔の非対称性(Brain and Cognition, 2014)

Abstract(ざっくり和訳)
先行知見において、人間は他者の外見によって協力者から嘘つきを区別できることが報告されている。しかしながら、協力者よりも感情強度を高く表出した嘘つきの笑顔によって、この弁別能力が阻害されることが示された(Okubo, Kobayashi, & Ichikawa, 2012)。本研究では、反社会的態度を隠蔽するための笑顔の神経的、認知的メカニズムの基盤を、感情表出における半顔の非対称性の観点から検討した。参加者(女性50人・男性50人)は、経済ゲームの結果から操作的に定義された協力者と嘘つきの合成顔について信頼性を評価した。表情が笑顔の場合、嘘つきの右―右の合成顔よりも、左―左の合成顔は信頼性が高く評価された。この笑顔における左の半顔の優位性は、協力者には見られなかった。さらに、表情が怒り顔の場合、左の半顔の優位性は消失した。これらの結果から、脳の感情的な領域と関連が深く、右の半顔よりも反社会的態度を効果的に隠蔽することができる左の半顔を利用していることが示唆された。

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●文献情報
Okubo, M., Ishikawa, K., &Kobayashi, A. (2014). No trust on the left side: Hemifacial asymmetries for trustworthiness and emotional expressions. Brain and Cognition, 82(2), pp.181-186.