2014/08/09

【研究紹介8】どんな人が正直者?どうして正直なの?(Biological Psychology, 2013)

Abstract(ざっくり和訳)
人は利己的な嘘をつくことがある。しかしながら、嘘をつく傾向は個人差が非常に大きく、この理由はまだよく分かっていない。この個人差はこれまで主に主観指標を用いて検討されてきたが、良い結果が得られていない。そこで本研究では、生態学的に妥当な嘘をつかせる課題とともに、客観的で安定した個人差を測定することができる安静時の脳波を指標として使用した。実験の結果、身体内部の状態を把握し、感情的な覚醒感や感情の生起を示す脳領域である「前島(anterior insula)」の安静時の神経活動は、嘘をつく傾向を示す個人差を予測することが示された。安静時の前島の神経活動が高い人は、実験課題で嘘をつかなかった。さらに、安静時の前島の神経活動が高い人は、嘘をつくときにネガティブ感情が生起され、感情が生起する状況を回避する傾向が高い人だった。したがって、常時からネガティブな感情のシステムが強く活性化している人は、嘘をつくことにかなりストレスや厄介さを感じているため、嘘をつくことを避けていることが、神経的・心理的指標から示された。

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●文献情報
Baumgartner, T., Gianotti, L. R., & Knoch, D. (2013). Who is honest and why: baseline activation in anterior insula predicts inter-individual differences in deceptive behavior. Biological Psychology, 94(1), pp.192-197.